Path: chuka.playstation.co.uk!news1.scei.co.jp!usenet From: moroha@ca.mbn.or.jp (Moroha Otuki =?ISO-2022-JP?B?GyRCQmc3bj10TVUbKEI=?=) Newsgroups: playstation.ny.resource.planning.discussion Subject: =?ISO-2022-JP?B?GyRCPWk9VSU3JUolaiUqOVY6QhsoQigxMik6GyRCP00bKEI=?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCSiokSzF8OVQkLSRyTT8kKCRrJEskTxsoQg==?= Date: Wed, 20 May 1998 23:12:42 +0900 Organization: Alkaid.inc Lines: 145 Message-ID: <19980520231242moroha@ca.mbn.or.jp> References: <19980114000256moroha@ca.mbn.or.jp> <19980119001259moroha@ca.mbn.or.jp> <19980127001023moroha@ca.mbn.or.jp> <19980216010611moroha@ca.mbn.or.jp> <19980223011105moroha@ca.mbn.or.jp> <19980313010622moroha@ca.mbn.or.jp> <19980320004534moroha@ca.mbn.or.jp> <19980411010853moroha@ca.mbn.or.jp> <19980422002442moroha@ca.mbn.or.jp> <19980506223206moroha@ca.mbn.or.jp> NNTP-Posting-Host: 202.217.26.186 Mime-Version: 1.0 Content-Type: Text/Plain; charset=ISO-2022-JP X-Posting-Software: WSNews 2.022  ども、諸葉です。今回はいろいろあってちょっと引用ばかりなんで、著作権上 の問題が起きる気配があった場合には消去しますのでそこのところよろしく。 今回のお題は     人物に奥行きを与えるには     バックストーリーを徹底的に作っておこう。 です。  さて、登場人物の性格を作っていくには様々な方法があります。その代表的な 方法として取り上げられているものとして、 1.登場人物の経歴 2.調査 3.会話 があげられています。順番に行くとしましょう。 1.登場人物の経歴 『 経歴とは、あなたの登場人物の人生を、誕生からストーリーが始まる時点ま でたどったものである。  その人はなんという名前か、どこで生まれたのか。このストーリーが始まると き、何歳なのか。父親の職業は何か。母親と登場人物との関係はどうか。兄弟姉 妹はいるか、ひとりっ子か。“好きなもの”と“嫌いなもの”は何か。子ども時 代はどんなだったか。性格は活発か、いたずら好きか、まじめか、外向的か、内 向的か……。  主人公の生活に入り込みなさい。  これらの関係は、シナリオのなかの彼(彼女)の行動に影響を与え、彼(彼女 )を描写するフラッシュバックや会話で使える“出来事”をもたらすこともある 。』  というわけで、まず、登場人物の職業、個人的な生活、私的な生活について、 1〜2ページでまとめることになります。 2.調査  調査は、現地調査と資料による調査の2つにわけられます。 『 現地調査では、あなたは意見や思想、感情、経験、バックグラウンドとなる ものについて、人々にインタビューする。』  たとえばガソリンスタンドを舞台にした話を書きたいのなら、ガソリンスタン ドにねた探しに行くことになります。一番簡単で確実なのはガソリンスタンドで バイトしてみることでしょうか。(^^)  自分で体験できないことであれば、「専門家」にインタビューすることになり ます。「専門家」が知人でない場合には最初にインタビューを録音していいか尋 ねろとか質問項目をあらかじめまとめておけとかいう注意が書いてあったりしま すが、そのへんは各人の良識で判断してください。  次が資料による調査です。 『 資料による調査は、図書館や博物館、研究機関から情報を得ることである。 何についてであれ、テーマが決まったら、図書館に行って、そのテーマについて 書いてある本を見つけなさい。』  資料はないよりはあったほうがずっといいと思いますが、資料を積み上げた高 さを誇るようなふるまいは避けるべきだと思っています。ユーザーは資料が見た いのではなく、ストーリーを見たいのだということをお忘れなく。まあ何事もほ どほどにということですね。 3.会話 『 次は会話である。どこのワークショップやセミナーでも、「どうしたら、会 話がもっとうまく書けるようになるでしょうか」と何度も尋ねられる。それで、 私が会話のどこがうまくいかないのか聞くと、「迫力がなく、不自然で、リアル でない」と、彼らは言う。それは正しい評価かもしれない。  会話の創作には、経験がものをいう。数多く書いていくうちに、だんだんと楽 に書けるようになる。私は受講生に、書き始めたときにはおそらく、40〜60 ページほどのひどい会話を書くことになるだろうと話す。しかし、そんなことは 気にしなくてよい。あとで、いくらでも書き直せるのだから、ひどい会話でもと にかく書くようにしなさい。第1稿とはだいたいにおいて、その程度のものであ る。 Writing Is Rewriting. 「著作とは、推敲である」という格言だってある。』  この格言は事実上この「シド・フィールドのシナリオ講座」のテーゼというべ きものです。もとは誰が言い出したことかは分かりませんが、あちこちの作家入 門にのっています。(^^; 『 ほとんどの人が、会話とはなんで、どういう意味があるかということを理解 していないため、会話の執筆に手間どる。会話を重視しすぎるのである。うまい 会話がシナリオの命と考えている人は、シナリオを書き始めて、会話が自分が思 っていたようにいかないと、不案になってくる。やがて、彼らは自分が作品その ものを検閲し、評価し、批判的になってくるのに気づく。その状態を続けていく と、おそらく書けなくなっていくだろう。すべて、自分の会話が満足に書けない ことにこだわるせいだ。馬鹿げている。』  会話の書き方に熟達するには、前にも出ているようにひたすら書くこと。そし て人がどう話しているかを注意して聞くことだそうです。  そういえば、某ゲームのインストで女性のせりふの最後に必ず「わ」をつけて いるというのがありました。実際に女性がこんな話し方をするかどうかは、しば らく他人の会話に耳を傾けていれば明らかです。(^^; ひょっとしたら、変わり 者の女性という設定だったのかもしれませんが…(^^;(^^;  会話がうまくいっているかチェックするための簡単な方法として、一度読み上 げてみることをお勧めします。声に出してばかばかしく響くようならば、その会 話はきっとばかばかしいできなのでしょう。まあ読み上げにくいものもあるとは 思うんですが (^^;; 『 会話は何をし、その機能はなんだろうか。  第一に、会話はストーリーを進展させる。第二に、会話は、読者や観客に事実 や情報を伝逹する。  第三に会話は性格を表現する。主人公は自分自身について話す。あるいは、他 の登場人物が主人公について話す。ヘンリー・ジェームズは、自分で照明の理論 と名づけた理論を持っていた。その理論では、主人公は他の登場人物が周りを取 り巻く輪の中央にいて、登場人物が主人公と会話をかわすたびに、ちょうど暗く なった部屋に明かりを灯すように、主人公のさまざまな面が“照らし出される” のである。会話は、言葉の光を当てることによって、性格の一部を明らかにする のである。  説明はたいてい、会話をとおして行われる。登場人物は、ストーリーの筋を設 定するために、何が起こったかを話す。あまり説明しすぎると、陳腐なものにな る。実際には、説明はそれほど必要ではない。ストーリーの状況説明をするだけ で充分である。』 『 第四に、会話は登場人物の関係を設定する。主人公の考えを設定したら、あ なたは会話を使ってストーリーを進展させ、対立する考え方をつくり、ドラマを 盛り上げてゆくことができる。  会話はまた、行動を説明する。』 『 会話はまた、場面をつなぐものでもある。あなたは登場人物のひとりが何か を話している場面を、別の登場人物が会話を続ける新しい場面に切り替えること ができる。』 『 会話は、あなたの台本を緊密に結び付け、非常に効果的な映画の道具となる のである。だが、会話はまた、登場人物を発展させるのに使うことのできる多く の道具のうちのひとつにすぎない。  ヘンリク・イプセンはこう書いている。登場人物を作るためには、「彼らを知 ることを学ばなければならない。そして、登場人物と知り合いになるというこの プロセスは遅々として進まず、骨の折れるものである。私は規則にしたがって、 3つのドラマを作るが、これらは互いに、粗筋ではなく、特質がかなり異なるも のである。私は、まず、題材に取りかかる前に、登場人物と汽車旅行の途中で知 り合いにならなければならないように感じる。まず知り合いになり、あれこれお しゃべりをする。それを紙に書くときには、私はすでに、あらゆることをはっき りさせており、まるで、ホテルに1ヵ月間一緒に生活していたように、登場人物 のことを知っているのだ。私は、彼らの性格の主要な点もちょっとした癖もしっ かり把握している。」』  というわけで長い長い引用おしまい。(^^;  次回はこの内容に基づいて例文をいくつか書いてみることにしておきます。 --- // Brave Sir Robin ran away He bravely ran away away // // Moroha Otuki 大月諸葉 // // e-mail : resource@FL.scei.co.jp // // : moroha@ca.mbn.or.jp // // http://plaza7.mbn.or.jp/~moroha/ //