ヴァンダルハーツ

VANDAL HEARTS

〜失われた古代文明〜


第2章 野望と狂気の島


第1節 ユース村

海賊レッドラムはラドーの弟だった。道を誤った弟を自らの手で断ち切ったラドーの心中は誰にも分からない。ラドーの苦悩は仲間を失った傷ではなく、家族を失った悲しみでもなかったのだ。船は一行の複雑な心を乗せたまま、ついにギルバレス島に到着した。
ギルバレス島唯一の村、ユース村。しかし、一歩足を踏み入れたとたんにその異様な様子に一行は息を飲んだ。村に散在する不気味な彫像。そして、正気がなくただ狂気に支配された村人達。
彫像からはまがまがしい妖気が漂っている。どうやらこの彫像が村人の正気を奪っているようだ。村人を救うためには、この彫像を全て破壊しなければならない。しかし、狂気に支配された村人は容赦無く襲いかかってくる。自分を守るためには反撃しなければならない。
「村人を絶対に傷つけるな、彼らには罪はないんだ!」

第2節 イグドラ渓谷

妖しげな彫像を破壊したとたん、村人達から狂気が消えた。彫像に支配されている間は記憶を失っていたという。一行は長老の家に招かれ、こうなってしまった原因を聞くことになった。
なんと、村人立ちに呪いをかけていった張本人こそ一行の探しているベラスコ将軍だという。一度長老たちの制止を振り切って、遺跡に向かった将軍一行は、数日後に舞い戻ったときには変わり果てた姿になっており、有無を言わさず村人に呪いをかけたらしい。
息を飲むエリナ。しかし、気丈にも声を上げることもなくじっと耐えていた。にわかには信じられない一行は、とにかく鍵を握る遺跡に向かうことにした。
村を出た一行は渓谷をながれる一筋の川に差しかかった。前方には村に水を引くための施設であろう、水道橋が見える。その時対岸に怪物の集団が現れた。そしてその怪物立ちに追いかけられているらしい3人のパーティも。
川を渡らなければ遺跡に向かうことは出来ないし、そちらにしても目の前で追い詰められている人達を見過ごすわけには行かない。一行は、彼らドルメン、アモン、サリアを救うべく対岸に向かう。
「水道橋の水を止めて、そこから渡るぞ。待っていろ、今助けに行く!」

第3節 ルーの丘

ドルメンらを救出した一行は一度ユース村に戻ることにした。彼らはベラスコ将軍とともにこの島に渡った兵達の生き残りだった。そして、彼らの口から兵達がこの島の遺跡を調べに来た理由が語られる。
この島の遺跡は、古の神話に語られている「トロアの方舟」である可能性があるとの報告があったというのだ。もし、神話に語られていることが事実であると確認された場合には、そのトロアの末裔であるとされる神聖アッシャー王朝を認めることになってしまう。
しかし、ベラスコ将軍に起こった異変の原因は解らないという。ドルメンら3人がたった1日遺跡を離れていた間に、ベラスコ将軍らが豹変し、いままで幽閉されていたということである。
結局、すべての謎は城塞遺跡に行ってみないと解けないということらしい。一行は再び遺跡に向けて出発した。イグドラ渓谷を越えると、景色が茶色一色の不毛な谷間が広がっていた。しかも、地底からは毒々しい紫色の液体がしみ出している。
不気味なのは雰囲気だけではなかった。前から狂気に支配された元兵士達が音もなく現れたと思うと、同時に後ろからも怪物が姿を現した。囲まれた!と感じた瞬間、リーンが後ろの敵に向かって駆け出して行った。
「リーン、無茶だ。」

第4節 城塞遺跡(前庭)

無茶な闘い方に対して諭すキースと、強がるリーンは口論となり、それは二人の間に無慈悲な隙間を造ってしまった。キースは言葉が足りないがために、リーンの心を救い上げることが出来なかった。
一人たたずむリーンに、様子をかぎつけたホセが語りかける。無謀な戦いの末に敗れ死んで行った者たち、そしてそれを救えなかった自分。そんなことは2度と繰り返してはならない。無口なキースに代わってホセの口から語られる内容は、リーンのわだかまりを溶かしていったのだろうか・・・
翌日、ドルメンの案内で城塞遺跡まで到達した一行は、そこで待ちかまえる敵の数に圧倒された。しかも、城塞入り口に到着するためには左右2基の昇降機を交互に使わなければならないという。
敵の数は多いが、その中に将軍の姿は見あたらなかった。城塞内部にいるに違いない。いよいよ、決戦が近づいている。仲間の間にも無言の圧力がかかっている。
「ドルメン、右からの攻撃を指揮してくれ。アモン、サリア、ラドーは俺とともに左から攻める。残りの者はドルメンの指示に従え!」

第5節 城塞遺跡(内部)

遺跡の内部は神殿のようなたたずまいを見せていた。外にいた怪物達の雰囲気などみじんも感じさせない静寂に包まれている。そしてそこには以前とまったく同じ姿のベラスコ将軍がたたずんでいた。どうみても狂気に支配されているようには見えない。エリナが駆け寄って抱きついていく。将軍も感きわまっているようだ。
と、にわかに将軍の身体が震え出した。何か内部からわき上がってくる強大な力にあらがうように激しく四肢をけいれんさせている。エリナに離れるように指示しているらしいが、当のエリナは父親に起こった変化に驚き身動きをしない。
と、将軍の身体から激しい閃光がほとばしり出た。それはまるで将軍の身体が瞬時に爆発したかのような錯覚さえ抱かせた。エリナはその閃光にはじき飛ばされ、遺跡の床に打ちつけられる。
先ほどまで将軍だった身体からは、閃光が消えかけると共に人とは思えぬ低くひび割れた声が発せられていた。「コロセ・・」と。完全に姿を現したダークロード・ベラスコは、1跳躍で神殿の奥まで後退すると、その身体から発する魔力で、幾体もの怪物を生み出した。先ほどまで静寂に支配されていた神殿とは思えぬ、まがまがしい気が充満し始めていた。
「ヨソモノ・・コロセ!」

第6節 城塞遺跡(裏口)

ダークロード・ベラスコを撃破すると、元のベラスコ将軍の姿に戻っていった。どうやら致命傷には至っていないらしい。将軍は「魔石」というものに操られていたのだった。「魔石」にはこの世界を手中に納められるほどの力が宿っているらしい。
その力をヘルに渡さないために、調査してくれと将軍に依頼した人物がいたのだという。しかし、実際には調査などするまでもなく「魔石」の正体をその人物は知っており、将軍をわざと「魔石」に乗っ取らせて利用しようと考えていたのだ。その人物は最初からヘル長官と繋がっていたということだ。
その人物の名を将軍が語ろうとしたとき、アッシュらの後方遺跡の入り口方向から1本の矢が飛来し、将軍の肩に突き刺さった。そこから現れたのはドルフ、アッシュ達に将軍を探せと命令したあの人物だったのである。アッシュの頭の中ですべての糸が繋がっていった。
ヘルにしてみれば、人望のあるベラスコ将軍は目の上のたんこぶ的な存在であった。いつか排除したいと考えていたところにドルフが入れ知恵をしたのだろう。将軍がヘルに対して謀反を起こそうとしている、という罪を被せ抹殺してしまうという案を。
しかも、世界を手中に収めるだけの力を持った「魔石」をも手に入れることが出来る一石二鳥の作戦だったに違いない。現に将軍は瀕死、「魔石」はドルフの手の中である。アッシュらは将軍を裸にするために遣わされたいわば、捨てゴマにすぎなかったのである。
怒りをたぎらせ今にもドルフらに切りかかろうとする仲間達だったが、アッシュは深く考え込んでいた。そして、冷静に皆に引くようにと促すのであった。その目には固い決意の色が窺える。皆も文句を言いながらもここまで引っ張ってきたアッシュの目を信じ引くことを決意したのである。
「魔石」と将軍、エリナ、ホルクスをドルフに奪われたアッシュ。その晩、一人村を抜け出すと再び城塞遺跡の近くに姿を現していた。あの場でもし、誰かが剣を振り上げていたならば、全員が反逆罪となって処分されていただろう。もし、全員が死んだとしても、残された家族や友人にかかる弾圧が待っている。これ以上、自分と同じ処遇の人間を増やしたくない。アッシュはそう考えていた。一人で反逆するならば、皆を巻き込まなくて済むはずだ。
しかし、そんな考えを見破っていたのだろう、すべての仲間、いやリーンを除いたすべての仲間がアッシュを追ってここに集まってきていた。目指している所は同じく、将軍たちが捕らえられている遺跡の牢獄。
皆の行動に胸を打たれたアッシュは、涙を浮かべながら遺跡を目指した。ドルメンらの案内で抜け道を使って城塞の裏に到着した一行は、警護用に飼われているガードドッグの群れを発見する。
「騒ぎを大きくしたくない。一気に決着をつけるぞ。」

特別節 トロアの試練2

遺跡で拾ったという「キーオブアース」。これは聖なる鍵に違いない。アッシュが持って転職道場に行くと、案の定僧侶が道を開いてくれた。アッシュらは2つめのトロアの試練を受けることとなる。



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