ヴァンダルハーツ

VANDAL HEARTS

〜失われた古代文明〜


第4章 覇道を継ぐ者


第1節 カノースの町

要塞刑務所解放の噂は瞬く間に大陸中に広がり、各地の反乱勢力を勢いづけた。その結果帝国南部域の実に1/3までもを解放することに成功する。
アッシュらは各地で善戦を続ける反乱軍のパイプ役として活躍している隊長とカノースの町で再び顔を合わせた。久々の全員の再開に一同の表情は明るかったが、唯一エリナだけは養父の異世界での死を告げられ心を乱していた。
クラウス隊長の話によると、辺境に近い南部域は帝国の戦力も手薄で比較的楽に解放できたという。それに対し残った中部域と北部域は頑強な砦や城が多く、これからの戦いは楽観を許さない状況になるそうだ。
更に帝国が王家の指輪探索に力を注いでいるという噂が流れている。それまで神話の中の物でしかなかった、「裁定の炎」だが、ギルバレス島に実際に存在していた方舟の件を直に見ているアッシュ達にとっては恐るべき現実の重みを持ってのし掛かってくる。
これ以上帝国に力を与えてはならない。アッシュ達の次の目標が決まった。帝国側よりも先に王家の指輪を見つけ出すことだ。隊長は東方で奮闘を続ける反乱軍の為に再び旅に出ていった。アッシュ達も情報を得るため貿易都市ケラチに向かうべく慌ただしく準備を整える。
その時、町が俄然騒がしくなった。窓から外を眺めると、そこには紅の鎧に身を包んだ帝国の戦士達が押し寄せていた。反乱勢力の拠点として、要塞刑務所を陥落させたアッシュ達が身を寄せている場所として、包囲されているのだった。
兵士達の中には常軌を逸した殺気をみなぎらせているクリムゾンリーダーの姿も見えた。しかも4人。その中の一人は因縁のケインだ。同じ国軍にいたために不条理な命令や行動も見逃してきたが、立場が代わった今となってははっきりと倒すべき敵である。
「遠慮はいらない。包囲網突破の手土産に一人でも多く倒す!」

第2節 マサイ大森林

要塞刑務所陥落の報に混じって、刑務所内部からの武装蜂起という情報も帝国宮殿にもたらされた。これはつまり、帝国内部に襲撃を支援した者がいることを示していた。ドルフはその嫌疑をリーンに尋ねる。
リーンは首を横に振るが、ドルフの協力者として暗躍するガモーが闇の中から密かにリーンを監視していたことで、既にその所行は伝わっていたのであった。ドルフはリーンの拘束を命じ、更にガモーに無視できない存在となったアッシュらの追撃を指示した。
そのころ、アッシュら一行はケラチに向かう途上にあった。ホセは未だにケラチに行くことに不満があるようだった。そんな会話をしながらマサイ大森林に入ったとき、魔法に縁のないラドーですら感じとれる余りにも悪意に満ちた妖気が、忽然と辺りに漂い始めた。
ガモーが現れたのである。始めての顔合わせでありながらはっきりと危険な敵であることを感じさせる目をしていた。パーティーの後方で息を飲む気配が感じられた。サムデラだ。ガモーもサムデラに気づく。
「サムデラ師・・」
ガモーは瞬間怪訝な表情を見せたがすぐに、元の無表情に戻り、何言が呪文を唱えたかと思うと、空中に溶け込むように消えていった。替わって周りには妖しい魔道の力で歪められた常世ならぬ生物が空中からしみ出すように現れてきた。
初めて相対した敵を見知っていたらしいサムデラに問うべきことがあったが、敵に包囲されつつある現在はそんなことに構っていられない状況だった。とにかく敵を倒すことを考えなければならない。
「説明は後でしてもらおう、来るぞ!」

第3節 貿易都市ケラチ

怪物を撃破した一行は、サムデラに疑問をぶつけた。なぜガモーはサムデラのことを師と呼んだのか?サムデラから返ってきた答えは一同を驚愕させた。サムデラは魔術師を志す者として名を知らぬ者がいないほど高名な古の大魔導師、「孤高のサムデラ」サムデラ・ルースだったのだ。
先のガモーはサムデラの弟子だった。およそ300年前の話だ。ガモーは更なる巨大な魔術を手に入れんがため、「裁定の炎」を探求することに執念を燃やしていた。それを戒めるサムデラとはやがて反発するようになり、ある時隙をついて攻撃してきたのだ。
そのころのサムデラとガモーでは実力差があったため、倒されることはなかったが力のぶつかりによって生じたエネルギーは魔石の時と同じように時空を歪ませ、二人を飲み込んだのだという。サムデラは時空の狭間に取り残されたが、ガモーは現代に落ちてきたのだろう。サムデラが最果ての地で魔石という言葉に反応したのもこれが原因だったのだ。
クリムゾンリーダー、ドルフ、ヘルに続いてまたしても倒すべき敵が増えてしまった。一行は強敵の出現にいささか気を落としながらも、貿易都市ケラチに到着した。
ケラチで「王家の指輪」についての情報を渡してくれるはずの人間はこの町の有力な大商人であるクルス・リズモン氏だとクラウス隊長は言っていた。その名前に反応したのはまたしてもホセだった。彼は信用できないという。なにか複雑な事情があるに違いないと感じられたが、唯一の手がかりである以上行かないわけにもいかない。一行はクルス氏の屋敷へと向かった。
そこで展開されたのもやはり再会劇だった。なんとクルス氏はホセの父親だったのだ。金のことばかり考えている父親のせいで母親を失ったと信じているホセにとって父親は憎むべき存在でしかなかったのだ。しかし、クルス氏の情報は貴重だった。革命の混乱に乗じて盗まれた「王家の指輪」が巡り巡って今はある貴金属商が握っているという。一行は取り引きをするために夜を待って旧市街の倉庫に向かった
倉庫で待つ一行の前には時間を過ぎても取り引き相手が現れなかった。なにかきな臭い思いにとらわれたとき、またしても忽然と怪物が現れた。しかも完全にパーティーを包囲する形でだ。罠に掛けられたのだ。
「考えている暇はない。襲ってくるぞ!」

第4節 魔道鉄道

何故取り引き相手が来ずに怪物が現れたのか。その答えは戦闘終了後に姿を現した2人の人物により明らかとなった。一人は帝国の魔導師ガモー、そしてもう一人はクルス氏だった。つまりはめられたというわけだ。
実の父親の裏切りに愕然とするホセだったが問い詰めるまもなくガモーの放った炎の結界に囲まれ身動きが取れなくなってしまった。炎の包囲網は着実に狭まっており、ところが、助けると言っていた自分の息子までも殺そうとするガモーになじられたクルスは、ホセを救おうとクルスに体当たりをかける。もちろんガモーにはダメージは与えられず、逆に剣撃に倒れてしまう。しかし、この捨て身の体当たりはガモーの精神集中を乱すためには十分な効果を上げた。炎の結界がパーティーの周りから消えて行く。
ガモーは先ほどのように不意を突いた攻撃が出来ないことを悟り、一行の前からまたしても姿を消すのであった。結界が消えると同時に父親に走りよるホセ。ホルクスによれば傷は浅くないという。とりあえず屋敷に戻ることとなった。
ホセの看病によって意識を回復したクルス氏はホセに自分の信じる道を行くが良いと告げる。ホセが初めて父親の存在を意識した瞬間であった。時を同じくして新たな情報がアッシュの元に飛び込んできた。「王家の指輪」がすでに闇商人の手から帝国へと渡っているというのだ。
指輪は、今日ケラチから首都に轢かれた鉄道を使って輸送されるという。一行はクルス氏に別れを告げ、急遽鉄道の駅に向かう。
そこには今まさに発車せんとする魔道列車が横付けされていた。一行を認めた帝国軍は急いで列車を発車させるが、ぎりぎりのタイミングでアッシュらは列車の最後尾に飛び乗ることが出来た。
サムデラによると指輪の気は先頭車両から感じるという。しかし、帝国兵はすぐに後続の車両を切り離しにかかった。このままみすみす目の前にある指輪を首都に輸送させるわけには行かない。
「車両が切り離される前に、先頭車両まで攻め込むんだ!」

第5節 ダイン砦

ダロスを倒し、指輪を手に入れたアッシュの前に再び魔導師ガモーが現れた。だが、今度は実体を持たない幻のような姿でだ。サムデラによると本体は別の場所にいるらしい。
ガモーは不敵にも取り引きを申し出た。指輪との交換条件に出してきたのは何と捕らえられたリーンの命だった。杭に張りつけられたリーンの姿を見てキースの顔がゆがむ。
アッシュはそんなキースの思いとは関係なく、生命の危機に立たされている人間を見逃すことは出来ないという理由から、取り引きに応じることになった。取り引きの場所はダイン砦。時刻はあすの日の出までだ。
翌朝、明け切らぬ紫色の空のもと、一行はダイン砦に到着した。待ちかまえていたガモーは配下のスケルトンを使って指輪を奪い取らせ、それを確認すると非道にもリーンの処刑装置を作動させて姿を消した。
煮えたぎる溶岩の上に張りつけにされたリーンのからだが、刻々と下がって行く。急いで処刑装置を止めなければならない。しかし、周りにはガモーの呼び出した怪物どもがひしめいている。
「とにかく処刑装置の破壊が最優先だ。急ぐぞ!」

特別節 トロアの試練4

魔道鉄道の上で見つけたヘヴィーラーメンがコレクター3種の神器の最後の一つだった。すべて揃ったコレクションを、ケラチの酒場にいた男に見せると、関心しきりで「キーオブケイオス」を譲ってくれた。聖なる鍵をコレクションしていたとは彼も侮れない。
とにかく、鍵を持って転職道場に赴きトロアの試練を受けることにした。



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